今年の冬はインフルエンザが大流行し、集団感染も問題視されました。インフルエンザだけではなく、風邪の症状を訴える人も多く、インフルエンザや風邪にならない為にも、どのように予防するかテレビで特集が組まれていました。
そこで思ったのが、「風邪薬を服用してEDにならないのか」と言うことです。一般的な風邪薬の一時的な服用では心配することはありませんが、それでも気になる場合は医師や薬剤師に相談し、薬の種類の調整も出来ます。今回は薬を服用することによってEDになる薬剤性EDについて説明していきます。
薬剤性EDとは?
薬にはそれぞれ副作用があります。普段から常用している薬の副作用でEDになってしまうことを薬剤性EDと言います。しかし、薬によって副作用も様々で全ての薬の副作用にEDがあるわけではありません。上記に書いたように一般的な風邪薬では心配することはありませんが、降圧薬や抗うつ薬などを毎日長期間服用している場合は注意が必要です。
EDを引き起こす可能性がある薬剤
日本性機能学会が発表した【ED治療ガイドライン第3版】には降圧薬、抗うつ薬、前立腺肥大治療薬、髄腔内バクロフェン療法、非ステロイド性抗炎症薬がEDを引き起こす危険があるとされています。
・降圧薬
降圧薬とは血圧を下げる薬です。降圧薬を服用するとEDになるのか、高血圧そのものにEDの危険性があるのか、降圧薬と高血圧の両方にEDの危険性があるのかは、まだ結論が出ていません。
降圧薬にも様々な薬剤があり、その中でも利尿薬、β遮断薬,Ca拮抗薬がEDになる危険性があるという報告が多く、α遮断薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬に関しては影響が無く、アンジオテンシンII受容体拮抗薬は保護的に働くと言う報告が多くあります。
高血圧そのものが原因でEDになっているのか、降圧薬を服用することによってEDになっているのか分からない場合は、降圧薬を服用する前に勃起するか試してみることをお勧めします。
・抗うつ薬
バランスを崩してしまった脳内環境を元の状態に戻すために使用されるのが抗うつ剤です。抗うつ薬のなかでも、セロトニン再取り込み阻害薬のパロキセチンとセルトラリン、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬のベンラファキシンがEDを引き起こす可能性があるとされています。
また、セロトニン再取り込み阻害薬は薬の服用を中止した後でもEDが持続することも報告されています。
・前立腺肥大治療薬
前立腺肥大治療薬で注意が必要なのはα遮断薬と5α還元酵素阻害薬です。α遮断薬は勃起に関して影響がないか、もしくは保護的に働くことはありますが、射精障害の報告が多くされています。
5α還元酵素阻害薬はEDを引き起こす可能性があると多くの報告があります。また服用を中止してもEDが持続する可能性もあり、服用するにあたっては注意が必要です。
・髄腔内バクロフェン療法
髄腔内バクロフェン療法とは脊髄を損傷した方の痙性治療に用いられる治療ですが、かなりの確率でEDを引き起こすとされています。
・非ステロイド性抗炎症薬
非ステロイド性抗炎症薬は以前はEDを引き起こす可能性があるとされていましたが、近年の研究によりEDを引き起こす可能性は少ないとされています。
薬剤性EDになってしまったら
上記で書いたように、EDを引き起こしてしまう薬剤は様々あります。しかし、EDになりたくないからと言って薬の服用を中止してしまうことは非常に危険です。
降圧薬は多くの方が服用している薬で、私の周囲でも服用している知人は多くいます。EDになりたくない為に降圧薬を服用しないでいると高血圧が原因で倒れてしまう危険性もあります。
自己判断で薬の服用を中止するのではなく、担当の医師にどのように自分自身の疾患と向き合うか、薬を服用するにあたっての注意点など相談すると良いでしょう。
そして服用している薬が原因でEDになってしまったらED治療薬を服用することをお勧めします。
担当の医師にEDのことを相談する場合は何の薬をいつから服用しているか分かっていますが、ED治療を専門とするクリニックでは患者様がどのような薬を服用しているのか分かりません。その場合は現在、何の薬を服用しているのか、血圧に異常がある場合は血圧の数値がいくらなのか問診表に記入するようにしましょう。日頃から薬を服用している場合だとお薬手帳を持っていると思います。お薬手帳を持っているのであれば、お薬手帳を医師に見せるようにしましょう。
薬剤性EDにならないために
今回は薬剤性EDについて書いてきましたが、薬剤性EDにならないようにするには日頃からの体調管理が必要です。高血圧の場合は生活習慣を改善することによって予防に繋がります。塩分の高い食事が好物であっても塩分を控えるようにし、運動が嫌いなら徐々にウォーキングやジョギングをすると高血圧の予防になり、EDになる可能性も低くなります。
また、以前よりも落ち込むことが多くなったり、憂鬱な気分が続くときは無理をせずに、ゆっくり休むようにしましょう。